欧州連合
医療機器にEU MDRのノーティファイドボディは必要か?実務ガイド
EU MDRでノーティファイドボディが必要となる場合、クラスIの例外、適合性評価ルートの選択や供給者の説明の確認に先立って求めるべき分類・適合性文書を解説します。
出典確認日:2026年10月25日
EU医療機器規則(MDR)の通常の手続きに従う医療機器について、クラスIIa、IIb、IIIではノーティファイドボディの関与が必要です。クラスIでは原則不要ですが、滅菌状態で供給される機器、測定機能を持つ機器、再使用可能な手術器具は例外です。対象機器とその意図する目的を特定し、分類を確認してから、適合性評価ルートを判断してください。CEマークや「クラスI」という表示だけでは結論は出せません。
まず機器と意図する目的を確認する
ノーティファイドボディは、特定の適合性評価業務を行うために指定された機関です。製造業者、一般的な試験所、登録データベースとは異なります。本ガイドは、製造業者と調達担当者が通常のMDRルートを検討するためのもので、機器を特定せずに分類を決めるものではありません。
製造業者に、意図する目的、モデルと構成、想定使用者、患者群、身体との接触、使用期間、滅菌状態、関連ソフトウェアや付属品の情報を求めてください。附属書VIIIの適用ルールと例外を明記した、書面による分類根拠を入手します。分類は意図する目的と機器の特性に基づきます。複数のルールが適用される場合は、最も高いクラスとなるルールが優先されます。外観が似た製品だけでは、十分な先例になりません。
製品がMDRの対象であると確認してから、この表を使ってください。体外診断用医療機器にはIVDRが適用されます。特注機器、医療機関内での製造、臨床試験、個別の適用除外については、この表から自動的に結論を出さず、別途ルートを確認する必要があります。
通常のMDR対象機器の判断早見表
第52条は、機器のクラスと評価手続きを結び付けています。Is、Im、IrはクラスIの区分を示す便利な呼称であり、追加のリスククラスではありません。複数の特性を併せ持つ機器もあります。最初の区分名だけで判断せず、該当するすべての側面を確認してください。
| 確認した区分 | ノーティファイドボディは必要か | 確認すべき事項 |
|---|---|---|
| 特別な特性のいずれにも該当しないクラスI | 第52条第7項では原則不要。 | 分類根拠と製造業者の適合宣言書。 |
| 滅菌状態で供給されるクラスI(Is) | 滅菌に関する側面について必要。 | 滅菌状態の達成と維持に関する評価。 |
| 測定機能を持つクラスI(Im) | 計量に関する側面について必要。 | 適用される測定要件に関する評価。 |
| クラスIの再使用可能な手術器具(Ir) | 再使用に関する側面について必要。 | 再処理と関連する指示に関する評価。 |
| クラスIIa | 必要。 | 選択した評価手続きと、この機器を対象とする証拠。 |
| クラスIIb | 必要。 | 植込み型機器に適用される要件を含む、選択した手続き。 |
| クラスIII | 必要。 | 選択した手続きと、機器固有の追加要件。 |
クラスIで関与が必要となる条件を慎重に確認する
- 滅菌状態での供給。 製造業者による供給時の状態、包装、表示を確認してください。滅菌できることと、滅菌状態で上市されることは異なります。限定的な評価の対象は滅菌に関する側面であり、機器のその他の部分の責任がノーティファイドボディに移るわけではありません。
- 測定機能。 どのような測定を意図している機器なのか、クラスImの基準に該当する理由は何かを確認してください。印刷された目盛りや画面上の数値だけでは分類根拠になりません。電子式の診断機器はクラスImではなく、より高いクラスに該当することもあります。この区分を用いる前に適用ルールを確認してください。
- 再使用可能な手術器具。 意図する手術での使用、能動機器への接続の有無、製造業者が意図する再使用を確認してください。再使用可能な製品が、必ず再使用可能な手術器具に該当するわけではありません。クラスIrの評価対象は、洗浄、消毒、滅菌、保守、機能試験、それらに関する指示を含む再使用の側面です。
クラスIの製造業者にも適合性の証拠は必要
これらの区分に当てはまらない通常のクラスI機器では、製造業者が適用される適合性評価を実施し、EU適合宣言書を発行します。技術文書、安全性・性能の証拠、臨床評価、リスクマネジメント、品質マネジメント、市販後の義務も引き続き重要です。「自己宣言」は評価ルートの説明であり、証拠を省略してよいという意味ではありません。
調達審査では、署名済みの宣言書、最新の表示、必要な場合は使用説明書に加え、対象モデルと分類の関係を説明する資料を求めてください。不足点について具体的に質問します。医療機器であるという理由だけでノーティファイドボディの証明書を要求したり、根拠のないクラスI表示だけで審査を完了したりしないでください。
ノーティファイドボディが必要なら指定範囲を確認する
欧州委員会のノーティファイドボディのページを開き、NANDOのMDRリストに進みます。機関名または識別番号で検索し、規則(EU)2017/745に基づく指定と、対象機器・手続きの範囲を確認してください。IVDRや旧指令に基づく指定だけでは、新たなMDR評価に必要な範囲を満たすとはいえません。
製造業者は申請前に、その機関が予定する機器とルートを評価できることを確認すべきです。購入者は、発行済みの証明書と関連する別紙・変更文書を求め、法的製造業者と対象範囲を購入対象製品と照合します。対象範囲が機器グループで記載されている場合は、モデルとの対応を文書で求めてください。真正性や対象範囲の疑問は、独自に確認した発行機関の連絡先を使って解決します。申請、見積書、ISO 13485証明書だけでは、MDR認証の完了を示しません。
個別の評価工程の例外と、ノーティファイドボディの関与が不要になることを混同しないでください。規則(EU)2026/1359は、第52条第4項に基づき機器ごとの技術文書評価を免除される、クラスIIb植込み型機器のリストを拡大しました。対象製品を通常のクラスI機器に変更したわけでも、クラスIIbの適合性評価ルートを廃止したわけでもありません。
調達の事例:何が変わったのかを確認する
以下は仮想的な審査事例であり、実在する製品の分類ではありません。最初の事例では、製造業者が、非滅菌で測定機能を持たず、再使用可能な手術器具でもない機器について、通常のクラスI分類を裏付ける根拠を提示しています。ノーティファイドボディの証明書がないこと自体は不備ではありません。宣言書とモデルの証拠を確認してください。
次に、供給者がその機器の滅菌済みモデルを提案します。以前の文書審査の結論をそのまま適用せず、供給時の状態と評価ルートがどう変わったのかを確認し、滅菌に関する側面の評価証拠を求めてください。「滅菌可能」という販売上の説明と、滅菌状態で供給するという表示では、確認すべき事実が異なります。
別の事例では、販売者が再使用可能な手術用鉗子をクラスIと説明し、第三者の関与は不要だと述べています。MDRの再使用可能な手術器具の定義に該当するか、別のルールによってクラスが変わらないかを確認してください。正しくクラスIrに該当するなら、再使用に関する評価にはノーティファイドボディが必要です。評価範囲と再処理の指示を対象器具と照合し、再使用可能な付属品がすべて同じルートに従うと考えないでください。
レガシー機器と特注機器のルートを分けて確認する
条件を満たすレガシー機器には、MDD/AIMDDの条件付き移行措置が引き続き適用される場合があります。MDRによって初めてノーティファイドボディの関与が必要となる一部の機器も含まれます。そのため、MDR証明書がないことだけで現在の供給可否は判断できません。第120条の具体的な根拠、適用される終了日、条件と申請・合意の期限を満たした証拠を求めてください。移行措置は恒久的な免除ではありません。
特注機器には、通常の表ではなく附属書XIIIの手続きが適用されます。クラスIIIの特注植込み型機器には、ノーティファイドボディによる品質マネジメントシステムの評価が必要です。その証明書なしでの上市を認めていた条件付き特例は、2026年5月26日に終了しました。2026年10月の供給審査では、終了したルートに頼らず、現在の認証の根拠を確認してください。また、真の特注機器と、患者に合わせて調整した量産製品を区別してください。
機器ごとに明確なルート判断を記録する
モデルと意図する目的、分類ルールと根拠、滅菌・測定・再使用の特性、選択した評価手続き、必要な場合はノーティファイドボディと指定範囲、確認文書、未解決事項、審査日を記録してください。不足点ごとに担当者を決め、製品や訴求内容が変われば判断を見直します。ルートが明確になったら、関連記事の供給者確認ガイドを使い、文書と製品の対応を確認してください。
RegunowでMDR適合性評価ルートを検討する
Regunowを使い、適用されるMDR条文を調査し、分類の証拠を比較し、供給者文書を検討できます。意図する目的、提案されたクラス、未解決のルート上の疑問をまとめ、自社の規制担当チームによる審査につなげてください。
MDRルートの検討を始める公式資料
- EU MDR · 規則(EU)2017/745、2026年7月19日統合版 · 第10、19、20、51、52、120条、附属書VIII
- MDCG 2021-24 rev.1 · 医療機器の分類に関するガイダンス(2026年4月)
- MDCG 2019-15 改訂1版 · クラスI医療機器の製造業者向けガイダンス(2020年7月)
- 欧州委員会 · 医療機器のノーティファイドボディとNANDOのMDRリスト
- 欧州委員会委任規則(EU)2026/1359 · クラスIIb植込み型機器の技術文書評価に関する改正
- MDCG 2021-3 · 特注機器に関する質疑応答(2021年3月)
- 欧州委員会 · MDR移行に関するQ&A、改訂2版(2024年7月)
- 欧州委員会UDIヘルプデスク · 医療機器の分類(2026年5月19日)



